未登記建物の相続
相続が発生した場合、相続財産の中に登記のされていない建物(未登記建物)が含まれている場合があります。
未登記建物は登記がされていないので、登記簿が作成されていません。なので、登記簿を請求しても該当がないとしてハジかれてしまいます。
相続人の方は、役所から送られてくる固定資産の納税通知書に未登記建物が記載されていることで、初めて未登記建物の存在に気付く方もいらっしゃいます。(固定資産税は登記の有無に関係なく課税されます。)
納税通知書の内容で、所在地の欄には記載があるが、家屋番号の欄が空欄だったりするような建物は未登記建物の可能性が高いです。
では、そんな未登記建物を相続した場合、どうすればいいのでしょうか?
3つのパターンに分けて考えてみましょう。
登記をする場合
「表題登記」と「保存登記」の2つの登記が必要になります。
大まかな流れは次のとおりです。
(1)未登記建物を相続する者を定める。
遺産分割協議により、未登記建物を相続する者を定めます。
(相続人が一人の場合や法定相続分で相続する場合には、遺産分割協議は不要です。)
なお、遺産分割協議書に未登記建物を記載する場合には、納税通知書に記載されている情報(建築年月日、所在地、構造等)をできるだけ記載し、「平成00年度固定資産税課税明細書(通知書番号0000000)記載のとおり」などとして、特定できるようにしておくといいと思います。
(2)表題登記
土地家屋調査士に依頼をして、表題登記を申請してもらいます。
(3)保存登記
表題登記が完了したら、司法書士が保存登記を申請して終了です。
取り壊す場合
未登記建物を取り壊した場合、「建物滅失届」を役所に提出することになります。
年の途中で滅失届を提出しても、固定資産税の年額は変わりません。
提出した年の翌年から固定資産税に反映されます。
ちなみに、登記されている建物を取り壊した場合は「滅失登記」をすることになります。
登記も取り壊しもしない場合
未登記建物の「所有者変更届」を役所に提出します。
当該変更届を提出することで、翌年度から所有者が変更されます。
なお、「所有者変更届」を提出する際には、遺産分割協議書などの書類が必要になる場合がありますので、事前に役所に連絡をして必要書類の確認をするのがいいでしょう。