相続放棄と登記の添付書類
相続人の中に相続放棄をした者がいる場合、登記の添付書類として何が必要になるでしょうか。
相続放棄をすると発行される書面と相続登記について記載していきます。
【相続放棄と登記手続き】
相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書
例えば、被相続人Aの相続人が子Bと子Cの2人だけだとします。
通常であれば、故Aの相続手続きとしては、BとCが遺産分割協議(相続する遺産の割合等の話し合い)を行い、当該内容を遺産分割協議書に記載した上で相続手続きを進めていくこととなります。
では、ここでBが相続放棄を裁判所に申し立てたとしましょう。
その場合、無事に裁判所に相続放棄が受理されると「相続放棄申述受理通知書」というものが裁判所からBに発行されます。
この相続放棄申述受理通知書は「相続放棄を受理しましたよ~」という裁判所の通知でしかなく、相続放棄をしたことを証明するものではないとされています。
一方で、「相続放棄申述受理証明書」というものがあります。
これは、Bが相続放棄をしたことを証明する書面で、相続放棄が受理された後に裁判所に対して交付申請をすることで発行してもらうことができます。
上記2種類の書面は、どちらも相続放棄をしたことがわかるため、債権者などに対して相続放棄を主張する場合は、相続放棄申述受理通知書だけで足りるケースが多いです。
相続放棄申述受理証明書の交付請求には手間と費用(150円)がかかるので、対外的には相続放棄申述受理通知書で対応してみて、相続放棄申述受理証明書を要求されたら裁判所に交付請求をすることでもよろしいかと思います。
相続放棄と登記の添付書類
上記の例(被相続人Aの相続人が子Bと子C)で、Aが不動産を所有していた場合には、当該不動産の名義変更登記(相続登記)が必要になります。
そして、Bが相続放棄をした場合にはCのみが相続人となるので、Cを相続人とする相続登記を申請すればいいのですが、その際にBが相続放棄をしたことを法務局に証明する必要があります。(そうしないと、法務局としてはBとCの2人が相続人として処理をするので、Cのみの登記申請を認めてくれません。)
相続人の中に相続放棄者がいる場合の相続登記。
従来の取扱いでは、相続放棄を証明する書類として「相続放棄申述受理証明書」の提出が必要でしたがその取扱いが変更されています。
相続を原因とする所有権の移転の登記の申請において、相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載された 「相続放棄等の申述有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書」や「相続放棄申述受理通知書」を登記原因を証する情報の一部とすることができる(平成27.6 登記研究第808号)。
本件では、相続登記の添付書類としてBの相続放棄申述受理通知書を法務局に提出すれば、相続放棄の証明書類としてはOKとなります。
なお、「相続放棄等の申述有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書」も相続登記で使用することが可能です。