法定相続分による相続登記後の遺産分割の登記(改正法関連)
法定相続分(例:相続人はABC)による相続登記がされた後に、遺産分割協議によってAが単独で相続する合意が成立した場合、現行法では「年月日遺産分割」でAへのB、C持分全部移転登記を行いますが、実務運用改正後は、当該場合には「年月日遺産分割」で〇番所有権更正登記を行うことになります。
添付書類も、移転登記では必要な書類(登記識別情報や印鑑証明書など)が更正登記では不要になるため、集める書類も少なくなります。
登記の原因を「錯誤」ではなく「遺産分割」によることにしたのは、錯誤よりもわかりやすいという理由からだそうです。
なお、改正後も、法定相続分による相続登記がされた後に、遺産分割によってAが単独で相続する協議が成立した場合、更正登記ではなく移転登記による申請も受け付けられるとのことですが、わざわざ移転登記で申請することはないかなと思います。
これらは、不動産登記法第63条の適用範囲を広げることによるもので、条文解釈を変更し実務上の運用を変更することで実現されるものです。
不動産登記法の改正により対応しないかったのは、条文レベルで遺産分割による登記の単独申請を認めることによる弊害(法定相続分での相続登記を積極的に活用するべきと誤った受け止め方を誘発するおそれ。)を避ける意図があったようです。
なお、改正後の運用がいつからされるのかは現時点(R4.3.3)ではまだ決まっておりませんが、不動産登記法改正(R5.4.1)の前後で通達等が発出されると思われます。
従来の登記実務 | 改正後の登記実務 | |
登記 | 所有権移転登記 | 更正登記 |
登記の目的 | 〇〇持分全部移転登記 | 〇番所有権更正登記 |
登記原因 | 年月日遺産分割 | 年月日遺産分割 |
申請構造 | 共同申請 | 単独申請 |
添付書類として登記識別情報と印鑑証明書は必要か? | 必要 | 不要 |
登録免許税 | 課税価格の4/1000 | 不動産1個につき1,000円 |
登記簿 | 主登記 | 付記登記 |