権利証(登記識別情報)を紛失したらどうなる?
登記できます。
権利証(今では権利証ではなく「登記識別情報」が発行されます。)を紛失した場合には、主に次の3つの対応策があります。
司法書士が「本人確認情報」を作成する
これは、権利証の代わりとなる書類(本人確認情報)を司法書士が作成することにより、権利証が無い状態で登記手続きを進めるものです。
本来、権利証は本人しか持っていないものです。
登記申請をする際、その権利証を登記申請書類に添付することにより、本人が申請に関わっていることの担保が図れるわけです。
しかし、その権利証を添付できない場合、法務局側としては本人が申請に関わっていることの担保が図れません。
そこで、司法書士が権利証の代わりになる「本人確認情報」を作成して、登記申請書類として法務局に提出します。
本人確認情報を提出することで、法務局側は「資格者である司法書士が本人であることの確認をしているなら、権利証がないけど登記手続きを進めてあげるよ」という見方をしてくれます。
ただし、この本人確認情報を作成する方法で進める場合には、本人確認情報作成代として司法書士報酬が約5~10万円かかる場合が多いと思いますので、余計な出費を防ぐためにも権利証は大事に保管しておきましょう。
事前通知制度を利用する
この方法は、権利証がない状況でとりあえず登記申請を行います。
例えば、売買による所有権移転登記のケースで、売主が権利証(又は登記識別情報)を紛失した状態で登記申請を行うと、法務局から「売買による所有権移転登記の申請がされていますけど、本当にこの申請を行いましたか?」という確認の通知が売主に送付されます。
売主はその通知に実印を押印し法務局に返送します。そうすることで、法務局は当該申請が本人が関与しているとの担保を図ることができるので、登記手続きを進めることが可能になります。
この事前通知制度は、費用はかかりませんが、法務局から本人に通知を発送し、本人が当該通知を法務局に返送するという手続きが必要になるので、通常の登記申請よりも登記完了が遅くなります。
また、当該法務局からの通知は本人限定受取郵便で送られてくるため、もし本人が受け取れなかったり、受け取れたとしても実印ではない印鑑を押印して法務局に返送してしまったりすると、最悪の場合、登記申請が却下されてしまいます。
こういったリスクがあることから、銀行の融資が絡んだ売買の場合等には当該制度は使わずに、上記の本人確認情報を作成する方法で手続きが進められることが多いです。
【事前通知制度の簡単な流れ】
1、 権利証や登記識別情報がない状態で登記申請
↓
2、 法務局から本人に対し登記申請が真意であるかどうかの確認通知を送付。
↓
3、本人は当該通知に実印を押印して法務局に返送
↓
4、法務局で登記手続きを進める。
公証人による本人確認
これは、公証役場にて公証人の面前で登記申請用の委任状に署名捺印をします。
そうすることで、公証人が「確かに私の目の前で署名捺印をしました。本人で間違いありません。」という認証文を発行してくれます。
それを登記申請の際に法務局に提出することで、登記手続きが進めることが可能になります。
つまり、公証人が本人確認をする手続きです。
これは通常数千円の手数料で行うことができますが、あまり利用されていない手続きです。
平日に公証役場に行く必要があるので、それも当該制度が利用されない一要因にもなっているようです。