不在籍証明書・不在住証明書とは何ですか?
不在籍証明書・不在住証明書、あまり聞きなれない書類の名前ですよね。
私たちの世界では「不在籍不在住」と省略して呼ぶことが多いのですが、一体どのような場合に使うのでしょうか?
これらの書類が必要になることが多いのは「相続登記」や「住所変更登記」の場合です。
登記簿に登記されている住所から引っ越した場合には、住所変更登記を行う必要があります。(義務ではありませんが。)
例えば、不動産の所有者(以下「A」という。)が死亡した場合には相続登記が必要です。
登記簿に登記されているAの住所は町田市なのに、引っ越しを繰り返して最終的に死亡当時のAの住所は相模原市だった場合(町田市から最終的に相模原市に引っ越していたけど、住所変更登記をせずに死亡した場合)、相続登記の添付書類として町田市~相模原市に引っ越したことがわかる書類が必要です。
当該書類としては、住民票の除票や戸籍の附票などが該当するのですが、これらの書類には役所における保管期間(※)があります。
この保管期間を経過すると廃棄されてしまい、取得することができなくなってしまいます(相続登記を長年放置している場合に、この状況が起きやすいです。)。
※ 令和元年6月20日から、住民基本台帳法の一部が改正され、住民票の除票及び戸籍の附票の除票が現行の5年間から150年間保存することになりました。ただし、すでに保存期間を経過してしまっているもの(平成26年3月31日以前に消除又は改製したもの)については発行されません。
ちなみに、住民票の除票は基本的に前住所までしか記載されませんし、住所の履歴が記載されている戸籍の附票に関しては、転籍を繰り返しているケースだと、保存期間を経過して破棄されている場合が多く、結局住所の変遷を証明することができません。
そうなると、法務局側で登記簿上のA(町田市)と死亡時のA(相模原市)が同一人物であるとの確認が取れないので、登記を進めることができないのです。
そこで登場するのが「不在籍証明書・不在住証明書」です。
不在籍不在住は、
「Aは確かに登記簿上の住所(町田市)に住んでいました。そして現在、登記簿上の住所(町田市)と同じ住所・本籍においてAという人物は実在していません。よって、登記簿上のA(町田市)はA(相模原市)と同一人物である可能性が高いです。」
というような、ある種消極的な証明をする書類になります。
ちょっと言い方を変えてみますと、
「現在、登記簿上の住所(町田市)にAという者は住んでませんし、本籍も有していません。」という消極的事実をもって、「じゃあ登記簿上に登記されている町田市のAは、死亡したA(相模原市に住んでたA)で間違いないよね。」という証明をする書類が「不在籍証明書・不在住証明書」というわけです。
この書類を添付することで、法務局は登記手続きを進めてくれます。
但し、法務局によっては登記済証のコピーや相続人の上申書も提出するように求めてくる場合が多いです。
「不在籍証明書・不在住証明書」の取得方法等についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
2022.1.31更新