未成年者でも会社設立できますか?
※ ここでは会社設立の手続きを「定款認証」と「会社設立登記」で分けて考えたいと思います。
※ 未成年者が会社設立を行う発起人になれるかどうか、会社設立後の役員になれるかどうかは別問題なので、混同しないように注意してください。(詳しくは「未成年者は役員に就任できますか?」をご覧ください。)
結論から申し上げますと、会社設立手続きにおける「公証役場における定款認証手続き」は未成年者でもできますが、「会社設立登記申請」に関しては15歳未満の未成年者だと難しい(15歳以上であれば可能)かと思います。
未成年者の定款認証手続きについて
会社設立を行う者を「発起人」と呼びますが、この発起人の資格に特段の制限は定められていません。
意思無能力者、行為無能力者又は制限行為能力者も発起人になることができます。
意思無能力者や行為無能力者は法定代理人によって代理されることで、制限行為能力者は法定代理人の同意を得ることで発起人になることが出来ます。
発起人は会社設立手続きにおいて、実印や印鑑証明書が必要になります。
しかし、印鑑(印鑑証明書)の登録は15歳以上でないとできません。
では、15歳未満は会社設立における定款認証手続きができないのかというと、そうではありません。
上述したように親権者が法定代理人として代わりに発起人となり定款認証手続きを進めることが可能です。
また、印鑑登録ができる15歳以上の未成年者が発起人になる場合でも、発起人として単独で会社設立ができるわけではなく、「親権者の同意」が必要になります。
(民法5条により、未成年者が法律行為を行うには親権者の同意が必要とされています。)
未成年者の定款認証手続きについて上記をまとめると次のようになります。
(各公証役場によって対応が異なりますので事前に確認が必要です。)
15歳未満の未成年者が発起人になる場合
・親権者が法定代理人として動く
・定款認証の際の必要書類
① 戸籍謄本(親子のつながりがわかる)
② 印鑑証明書(親権者)※ 定款には親権者が押印
15歳以上の未成年者が発起人になる場合
・親権者は未成年者の発起行為に同意する形
・定款認証の際の必要書類
① 印鑑証明書(未成年者及び親権者)
② 戸籍謄本(親子のつながりがわかる)
③ 同意書(親権者)
※ 親権者も全員発起人になる場合には同意書は不要の場合もあります。
※ 定款には未成年者及び親権者が押印
未成年者の会社設立登記について
定款認証が無事に終わったら、最後の仕上げとして法務局への会社設立登記が必要になります。
取締役会を設置しない株式会社の設立登記において、法務局には(代表)取締役の印鑑証明書を添付しますので、印鑑証明書(※)を添付できない15歳未満の未成年者が設立時取締役に就任することは登記手続き上難しいことになり、会社設立手続きもできなくなる可能性が高いです。
なお、15歳以上であれば、印鑑証明書も入手可能かと思いますので、会社設立登記も可能になるかと思います。
もちろん、その場合でも親権者の同意書等の用意が必要になりますので、法務局に事前確認をした方が無難です。
※ 役所に印鑑登録ができるのは15歳以上の場合がほとんどかと思います。
まとめ
15歳以上の未成年者は単独で会社設立手続きができますが、15歳未満の未成年者は難しいということになります。
なお、再度申し上げますが、未成年者が役員に就任できるのかどうかは別問題になります。
詳しくは「未成年者は役員に就任できますか?」をご覧ください。