遺言信託の受託者は自分が受託者であることをどうやって知りますか?
遺言信託は、信託契約のように受託者と契約をするわけではなく、あくまで遺言書の中で信託を設定するものなので、委託者は誰にも知られずに一人で遺言信託を行うことができます。
遺言信託は、原則、委託者の死亡によって効力を生じます。
そして、遺言信託では、委託者が「受託者を指定している場合」と「受託者を指定していない場合」があります。
この2パターンに分けて解説していきます。
受託者を指定している場合
委託者が遺言信託の中で受託者を指定している場合、当該受託者は自分が受託者に指定されていることを知らない可能性があります。
そこで、委託者の相続人や遺言執行者などの利害関係人は、受託者と指定された者に対して、受託者として信託の引き受けをするかどうか確答すべき旨を催告することができます。
つまり「あなたは受託者に指定されていますが、承認しますか?」という問いかけをするわけです。
この催告があった場合に、受託者として指定された者は、相当の期間内に委託者の相続人に対して返答をしないときは、信託の引き受けをしなかったものとみなされます。
なお、実務では、遺言信託を行う場合、委託者は受託者として指定する者に事情を説明し、事前に受託者となることの承諾を得ておくことが通常です。
受託者を指定していない場合
遺言信託の中で、委託者が受託者を指定していない場合には、裁判所は、委託者の相続人や遺言執行者などの利害関係人の申立てにより受託者を選任することができます。
これは、委託者が受託者を指定している場合に、受託者として指定された者が信託の引き受けを断る等によって受託者不在となった場合も同様です。