相続財産(遺産)がわからない場合どうすればいいですか?

相続財産(遺産)の調査をしましょう。


亡くなった者の遺産がどのくらいあるのかわからない、銀行口座も把握しておらずどこに預貯金があるのかわからない、というような状況は珍しくありません。

最近では、自分の死後に備えた生前の活動として「エンディングノート」や「終活」という言葉も聞くようにはなりましたが、まだまだ浸透するには時間がかかるような気もします。

親がどのくらいの財産を持っていたのかわからない場合、相続手続きでは次のような不都合が生じます。

相続人の内、誰がどのくらいの遺産を受け取るのか決められない
相続税の計算ができない
➡相続税の申告は、死亡日から10カ月以内にする必要があります。また、相続税の申告を誤ってしまうと、後日余計に税金を支払うことにもなりかねません。
相続発生から3カ月経過すると相続放棄ができなくなる
➡相続調査に時間がかかってしまい、その調査の結果借金などの負債が多額であったとしても相続放棄をすることができなくなってしまいます。これを防ぐには家庭裁判所に「熟慮期間伸長の申立て」や「限定承認」を検討する必要が出てきます。

相続財産(遺産)の調査方法

不動産

まず、家の中に次の書類がないかを探してみてください。

・登記済権利証
・登記識別情報
・課税明細書 など

書類がたくさんあってどれが該当するのか判断できないときは、とりあえず全部を司法書士事務所に持って行って司法書士に見てもらうのが早いと思います。

上記の書類で不動産の所在地等がわかれば、法務局で『登記簿謄本』(今は電子化されているので、「登記事項証明書」などと言います。)を取得することができます。
その際は「共同担保目録付」で取得するといいでしょう。
そうすると担保権(抵当権等)を共同で設定している物件が芋づる式に表示されるようになります。

また、上記の書類の他に、市役所に『名寄帳』を請求することもお勧めします。
名寄帳は、その市区町村内で所有している不動産の一覧表のようなものです。
あくまでその市区町村内で所有している不動産しか記載されないので、各市区町村ごとに請求する必要があります。
あの地域にも土地や建物を持っていそうだな」と思うような市区町村に請求してみるのもいかもしれません。

なお、非課税の不動産(公衆用道路などの私道)は、課税明細書や名寄帳に記載されない場合もあるので、法務局で『公図』を取得して私道の有無も確認する必要もあるでしょう。
もし「私道っぽいなぁ」と思う土地があったら、その登記簿謄本を取得して所有者を調べてみるといいかもしれません。

金融資産(預貯金・有価証券など)

まず、家の中に次の書類がないかを探してみてください。

・通帳
・キャッシュカード
・金融機関や証券会社からのハガキ等の通知
・金融機関・証券会社の記念品(カレンダーやボールペン等) など

これらの書類が見つかれば話は早いですが、なかなか見つからない場合もあるかと思います。
そんな場合には、口座がありそうな銀行・証券会社に(自宅近くの銀行等)に手当たり次第調査依頼をすることも一つの手です。

マイナスの財産(借金等)

借金などのマイナスの財産についても、上記金融資産の調査に似ているところがあると思いますが、消費者金融やクレジット会社からの督促状などの郵便物封筒を探す・通帳に定期的な引き落としがないか等を調べます。

また、負債としては『住宅ローン』も該当するかと思いますが、住宅ローンは団体信用生命保険(団信)に加入していれば死亡によって返済が免除されますので、その確認もする必要があります。

団信によって住宅ローンが消滅した場合には、不動産に設定されている抵当権を抹消する登記手続きが必要になりますので、その抹消登記手続きを司法書士に依頼するといいと思います。

まとめ

上記の書類等は、日常では見慣れない書類ばかりだと思いますので、見方がわからない、取得方法がわからない等の場合は、司法書士に調査をお願いするといいと思います。

但し、専門家に依頼すると費用が発生してしまうので、やはり、相続財産(遺産)に関しては、生前の内に一覧表などにしてご家族に伝えておくことが一番です。
相続財産の調査が必要になってしまうと、相続人に迷惑(時間と費用)がかかってしまいます。

また、故人との生前の会話や趣味等からある程度の相続財産の種類を推測(ex,ゴルフが好きだったからゴルフ会員権があるかもしれない)することも可能だと思うので、生前にどれだけ家族間の交流があったかが重要になってきます。

なんにせよ、円満・円滑な相続を行うには、生前の対策が必須になってくるので、まだ元気なうちに司法書士等の専門家に相談することをオススメします。

 

  1. 相続分の譲渡とは?
  2. 端株(単元未満株)を相続したんですが、どうすればいいですか?
  3. 自筆証書遺言とは?
  4. 公正証書遺言とは?
  5. 一度書いた遺言書は撤回できますか?
  6. 遺言書を書いた場合は家族に伝えた方がいいですか?
  7. 遺言書はなにを書いても有効ですか?
  8. 遺留分とはなんですか?
  9. 遺留分減殺請求とはなんですか?
  10. 相続登記の必要書類を教えてください。
  11. 相続が発生した場合の限定承認って何ですか?
  12. 再婚相手の連れ子の相続権はどうなりますか?
  13. 自筆証書遺言の保管方法はどうすればいいですか?
  14. 親が離婚した場合、子供の相続権はどうなりますか?
  15. 代襲相続とはなんですか?
  16. 数次相続とはなんですか?
  17. 相続欠格事由にはどんなものがありますか?
  18. 知り合いやお世話になった人に遺産をあげることはできますか?
  19. 負担付遺贈とはなんですか?
  20. ペットのために財産を残すことはできますか?
  21. 失踪宣告とはどのような制度ですか?
  22. 預貯金や株、投資信託などの口座解約・払戻し手続きを依頼することはできますか?
  23. 遺言書はいつどのタイミングで作成すればいいですか?
  24. 相続する財産が自宅(土地と建物)しかないのですが相続対策は必要?
  25. 兄弟姉妹の配偶者が親と養子縁組をした場合の相続はどうなりますか?
  26. 養子縁組後、養子は実親の相続について相続人になりますか?
  27. 相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議
  28. 相続財産(遺産)がわからない場合どうすればいいですか?
  29. 遺言書に遺言執行者の定めは必要ですか?
  30. 遺言で遺言執行者を定める場合に注意すべきことは?
  31. 遺産分割協議は相続人全員でする必要がありますか?
  32. 認知症、知的障害、精神障害のある者を抜かして遺産分割協議をしても大丈夫?
  33. 故人の銀行口座が凍結される前に預金を引出しても大丈夫ですか?
  34. 相続人が存在しない場合、相続財産はどうなりますか?
  35. 遺産分割協議は相続人全員が一堂に会して行う必要がありますか?
  36. 兄弟姉妹が相続人になる場合、相続登記で必要になる戸籍は?
  37. エンディングノートに書いた遺言は有効ですか?
  38. 遺言と異なる内容の相続(遺産分割協議)はできますか?
  39. 遺言で孫に直接相続させることはできますか?
  40. 相続人が複数いる場合、遺言を残すことでその内の一人にだけ相続させることはできますか?
  41. 遺書と遺言書の違いは何ですか?
  42. 親が離婚した場合、親権者ではない親の財産を相続することはできますか?
  43. 相続放棄の必要書類、費用や申立先は?
  44. 相続人が一人の場合、相続登記に遺産分割協議書は必要ですか?
  45. 被相続人の最後の住所と登記簿上の住所が違う場合の相続登記
  46. 相続による名義変更をしない間に相続人が死亡した場合どうすればいいですか?
  47. 遺言書の検認手続きとは何ですか?
  48. 遺言書の検認手続きの依頼は可能ですか?
  49. 親の借金だけ相続放棄できますか?
  50. 相続について家族で揉めないと思うので遺言書は残さなくていいですか?
  51. 相続放棄をしたら相続とは無関係になりますか?
  52. 相続人全員が相続放棄をしたら相続財産はどうなりますか?
  53. 認知症でも遺言書を作成できますか?
  54. 相続登記とは?
  55. 預貯金の解約払戻し後に借金があることが判明。相続放棄できますか?
  56. 身寄りがいない場合、相続手続きは誰がやるの?
  57. 相続財産の一部だけを相続放棄できますか?
  58. 相続人や受遺者が相続手続きをしないまま死亡した場合はどうなりますか?
  59. 相続放棄はどこの裁判所に申し立てればいいですか?
  60. 相続手続きを全て一括でお願いできますか?
  61. タイ人の印鑑証明書・サイン証明書
  62. 再転相続における相続放棄の熟慮期間
  63. 未成年者は相続放棄できますか?
  64. 成年後見人が遺産分割協議に参加する場合の注意点①
  65. 成年後見人が遺産分割協議に参加する場合の注意点②
  66. 遺産分割協議書は自分で作成できますか?
  67. 口がきけない(喋れない)者でも遺言書を作成できますか?
  68. 字が書けなくても遺言書は作成できますか?
  69. 相続人がわからない場合の調査方法
  70. 遺産分割協議のやり直しはできますか?
  71. 死亡した者(被相続人)が生命保険に入っていたか調査できますか?
  72. 異母兄弟(異父兄弟)は相続人になりますか?
  73. 相続手続きはまず何をすればいいですか?
  74. 相続登記義務化が始まるまでに相続登記をしなければいけませんか?
  75. 相続放棄をしても未支給年金は受け取れますか?
  76. 遺言書の種類と作成方法は?

相談予約受付中

完全予約制

お電話でのご予約受付:042-816-3207(平日9:30~19:00)

メールでのご予約・お問合せ(24時間受付中)

土日祝日相談、早朝・夜間相談、当日相談、出張相談

司法書士法人まちたま 多摩センター事務所
民事信託・家族信託のまちたま相談所
円満相続トータルサポート

お気軽にご相談ください

会社のこと、不動産のこと、相続・遺言のこと、家族信託のこと、その他お悩みのこと。

完全予約制

お電話でのご予約受付:042-816-3207(平日9:30~20:00)

メールでのご予約・お問合せ(24時間受付中)

土日祝日相談、早朝・夜間相談、当日相談、出張相談