代表取締役兼取締役の者が取締役として退任すると代表取締役の地位も失いますか?
失います。
例えば、取締役会設置会社において、3名の取締役(A・B・C)と1名の代表取締役(A)がいる場合に、Aが辞任をしたときは、Aは引続き取締役及び代表取締役としての地位を有します。
なぜなら、取締役会は3名以上の取締役が必須なので、Aが抜けてしまうとその条件を満たさなくなってしまいます。
また、Aが辞任すると代表取締役も欠けてしまうことになります。
そのような場合には、Aは辞任をしてもなお取締役及び代表取締役としての権利義務を有します。
会社法346条
役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
会社法351条
代表取締役が欠けた場合又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。
取締役Dが新たに就任した場合
上記の場合(Aが権利義務を有する場合)に、新たに取締役Dが就任するとどうなるでしょうか?
この場合には、取締役はB・C・Dの3名になり、法定人数を満たすことになるので。Aは取締役の権利義務承継者としての地位を失います。
一方、Aは代表取締役の権利義務承継者としての地位も失うのかどうかというと、失います。
代表取締役は取締役としての地位を前提としていますので、取締役としての地位を失う以上、代表取締役としての地位も当然に失うとされています。