遺言書に遺言執行者の定めは必要ですか?
遺言執行者の定めは必須ではありません。
遺言に書かれた内容を実現するために、遺言書で遺言執行者が定められていることがあります。
基本的には、相続人全員で遺言書の内容についての手続きを行うのですが、遺言執行者が定められていれば遺言執行者1人だけで手続きを進めることができます。
この遺言執行者は、遺言者が遺言で定めることができるとされていますが、必ず定めなければならないというわけではありません。
民法1006条
遺言者は、1人又は数人の遺言執行者を指定することができる
このように民法でも遺言執行者の定めは遺言者の任意とされています。
遺言執行者が必要な場合
遺言には、「遺言者の死亡によってその効力が発生して遺言の執行行為を必要としない事項」と、「その内容を実現するために遺言の執行行為が必要となる事項」があります。
そして、執行行為が必要な事項の中にも、「遺言執行者のみが執行できる事項」と「遺言執行者以外の者(相続人等)が執行できる事項」があります。
遺言執行者のみが執行できる事項
・推定相続人の廃除
・推定相続人の廃除の取消し
・認知
以上、3つの定めが遺言書にある場合には、遺言執行者がそれを執行する必要がありますので、遺言書に遺言執行者を定めておくとスムーズにいくと思います。
しかし、上記3つの定めが遺言書にあるのに、遺言執行者について遺言書で定めていない場合はどうすればいいでしょうか?
その場合には、利害関係人が家庭裁判所に遺言執行者を選任するように請求することができますので、遺言執行者の定めがないからと言って遺言書が無効になることはありません。
遺言執行者の資格
未成年者及び破産者は遺言執行者となることはできないとされています。
上記以外であれば理論上は誰でも遺言執行者になれます。
もちろん「法人」もOKです。