認知症になってからでも家族信託は利用できますか?
利用できません、と断言することは難しいのですが、少なくとも判断能力が低下した状態では家族信託は利用しない方が無難かと思います。
「最近、親の物忘れがひどくなってきた気がするのですが信託契約はできますか?」
「要介護認定を受けているのですが信託契約は大丈夫ですか?」
「認知症の診断が出ているのですが遺言信託はできますか?」
このようなご質問は多々あります。
家族信託契約はあくまで契約なので、契約内容を理解する判断能力が必要です。
また、遺言信託は遺言なので遺言能力が必要です。
しかし、少し物忘れが多くなってきた・認知症の症状が出てるような気がする等の理由だけで家族信託が利用できないと判断することはできません。
それだけでは「信託を理解するための判断能力がない」とは断言できないからです。
専門家としては、まずは実際に本人と面談を複数回行い、判断能力の有無をしっかりと確認します。
その上で、信託を進められそうだなと判断できれば家族信託を利用することも可能だと思います。
もちろんその判断は専門家によって違ってくることもあると思いますが、トラブルを避けるためにもその判断は慎重に行わなければいけないことは間違いありません。
本人が、信託の目的や信託財産の内容、メリット・デメリット、信託当事者の関係等について概要を理解できていれば、全ての法律上の内容を完全に理解する必要はないと個人的には思っています。(もちろんその場合でも判断は慎重に行う必要がありますが。)
なので、「認知が進んでいるから」「ちょっと最近話がかみ合わない」等の理由だけで信託の利用を諦めるのは早いかもしれません。
そのような場合でも、一度専門家に相談してみることをオススメします。