相続人が複数いる場合、遺言を残すことでその内の一人にだけ相続させることはできますか?
できます。
但し、遺留分に注意する必要があります。
例として、父・母・長男・長女の4人家族で考えてみます。
この時、父が死亡した場合の相続人は母(相続分2分の1)・長男(相続分4分の1)・長女(相続分4分の1)の3人です。
父が「母にすべての財産を相続させる」という内容の遺言書を書いた場合には、長男・長女は財産を一切相続することができません。
それで長男・長女が納得すればいいのですが、そうでない家庭の事情があるケースもあると思います。
一方、長男または長女がそれに納得しない場合、遺留分侵害額請求権を行使してくる可能性もあります。
父の法定相続人である長男・長女は、法律上認められた最低限の相続分(遺留分)を有しているので、本事例のように母に全て相続させるという場合には、事前に家族で話し合うことも重要になってきます。
なお、家族間で不仲があると家族会議も難しいと思います。
その場合には、長男長女にも遺留分を満たすような財産を相続させることや、遺言書の中で遺留分減殺請求がされた場合の財産の指定など、なんらかの対策をする必要があるでしょう。