一般社団法人と株式会社はどちらが受託者に適していますか?
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家族信託では、状況に応じて受託者を個人(自然人)ではなく、法人にすることもあるかと思います。
そこで、受託者を法人とする場合に、一般社団法人と株式会社のどちらにするのか迷うことはありませんか?
結論から言いますと、個人的には現状、一般社団法人が家族信託に適していると考えています。
信託業法との関係で、営利法人である株式会社を受託者にすることは一定の抵抗があります。
信託業法では、不特定多数を相手に反復継続して信託の引き受けをし報酬を得る場合には信託業法の許可を得る必要があり、免許を受けた法人でないと当該信託を行うことができないとされています。
株式会社が信託を引き受ける場合には、当該信託業法に抵触する可能性がありそうですが、株式会社を所有する者が、自分の家族の財産管理のために当該会社で信託を引き受けるのは、不特定多数を相手に営利を目的として行っているわけではありません。(営利法人である株式会社が信託業務を無報酬で行うのはどうなのか、という問題はぬぐい切れませんが。)
つきましては、株式会社を受託者にすることが一概に信託業法に抵触するとは言えないと考えています。
但し、念のために、信託を引き受ける株式会社の事業目的に「信託業法に抵触しない民事信託の引受け業務」等の文言を入れておくことも検討してもいいかもしれません。
一方、一般社団法人は営利・非営利を問わない法人として信託業務を行うことができます。
信託事務を無報酬で行うとしても違和感はありませんので、株式会社よりは一般社団法人の方が受託者に適しているのではないでしょうか。
なお、法人を受託者にする場合には、法人としての意思決定を円滑にする仕組みを作ることも必要です。