家族信託(民事信託)を利用すれば後見制度を利用する必要はないですか?

そんなことはありません。

確かに、家族信託・民事信託(以下「家族信託」という。)は、遺言では実現できない柔軟な資産承継や、後見制度では対応できない財産管理を実現する仕組みです。

しかし、家族信託は万能ではありませんので、信託制度を利用したからと言って、後見制度を利用しなくていいかというと、そうではありません。

高齢者の認知症対策や、障がい者の生活支援のための信託を「福祉型信託」と呼んだりもしますが、福祉型信託だけでは対応できない部分もあります。


特によく言われるのが、「家族信託における受託者には身上監護権がない」ということです。

身上監護権とは、介護施設との各種契約や医療契約等をする権利のことを言いますが、家族信託の受託者はそれができないとされています。
つまり、そういった部分は後見制度で対応するしかありません。

家族信託を利用したからもう安心というわけではなく、家族信託・後見・遺言の3つをうまく併用することで生前の財産管理~死後の資産承継までをうまく対応していくことになります。


なお、『家族信託・民事信託と後見制度の比較』もご覧ください。

 

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