未成年者は相続放棄できますか?
できます。
但し、注意が必要です。
例えば、父Zが死亡し、相続人は母Yと子X(未成年)のみとします。
この時、父Zの相続財産に債務(借金など)が多くある場合には、通常、相続放棄を検討するかと思います。
さて、母Yが自分の相続放棄をする場合には特に問題はないのですが、未成年である子Xの相続放棄については少し注意が必要です。
相続放棄は法律行為です。
未成年者は単独で自らの法律行為を有効に行うことができません(一部例外を除く)。
では、子Xが相続放棄をしたい場合にはどうすればいいのでしょうか?
答えは、法定代理人である母Yが子Xの代わりに相続放棄の申述申立てをする、です。
但し、さらに注意が必要なのは「利益相反」の問題です。
例えば、上記の例で母Yは相続放棄をせずに、子Xだけが相続放棄をするような場合、子Xが相続放棄をすることで母Yの相続分(取り分)が増えます。
そうなると、母Yは自分の利益が増える行為(子Xの相続放棄)を自ら行う形になるので、これは利益が相反している(利益相反)ということで出来ないとされています。
この場合には、子Xのために特別代理人の選任申立てを行い、当該特別代理人が子Xの相続放棄を行うことになります。
なお、下記のような場合には、子Xの相続放棄を母Yが代わってできるとされています。
・母Y自身が既に相続放棄をしている場合
・母Yと子Xが同時に相続放棄を行う場合